●1日午後9時すぎ、中国雲南省昆明市の昆明駅で、黒い服を来た複数の人物が刃物で無差別に切りつける事件が発生した。2日午前6時時点で29人が死亡、130人以上が負傷したと発表されている。SNSでは流血の舞台となった現場の生々しい写真が拡散された。
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サーチナニュース 2014-03-02 14:58
http://news.searchina.net/id/1525631
中国・昆明の無差別襲撃事件、習主席「テロリストを厳罰に」
・・・ネット上で「原因は何か?」の疑問=中国版ツイッター
新華社によれば、雲南省昆明市で1日夜に発生した、10名あまりの同じ服装をした覆面姿の集団による「無差別襲撃」は、2日午前6時(日本時間同7時)までに
29人が死亡、130人以上が負傷
した。
警察はその場で4人の犯人を射殺し、1人を逮捕したものの、残りの犯人は現在も追跡中だ。
襲撃事件の発生を受け、中国共産党の習近平国家主席は、全力をあげて事件を解決するよう指示。
「法に基づきテロリストを厳罰に処す」ことや、被害者の救済とその後のケアに力を入れること、社会の安定と人民の財産や生命の保障に全力を尽くすようにと指示を出した。
中国の簡易投稿サイト微博での反応を見てみると、ネットユーザーからは犯人に対する怒りと非難の声が続々と寄せられており、
★.「武器を手に罪のない民衆を襲撃するとは、犯人は畜生どもだ!」、
★.「こういう輩は、車裂きの刑に処するべき」
などのコメントがあった。
衝撃的な事件に
★.「ほかの場所でも安全を強化すべきだ。恐ろしすぎる」、
★.「中国の反テロの道のりはまだ遠い。一切のテロ行為に断固として反対し、中国国内を平和にせよ」
など、平和を願うコメントも多かった。
さらに
★.「いったい何が原因なのだ?
なぜ罪のない民衆が殺されなければならなかったのだ?」
と事件の原因を問うユーザーも見られた。
北京市天安門での車両突入事件や山西省太原市共産党委員会建物前での爆発事件など、中国では政府が「テロ」と断定する事件が多発しており、今回の襲撃事件についても昆明市政府は2日、同事件について「新疆分裂勢力による計画的かつ組織的な重大なテロ事件」と断定した。
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月2日 11時22分
https://www.youtube.com/watch?v=mvkPNLHWgUk
昆明の無差別襲撃、SNSで事件現場の生々しい写真が拡散
=「ウイグル独立勢力のテロ」と当局発表―雲南省
2014年3月1日午後9時すぎ(現地時間)、中国雲南省昆明市の昆明駅で、黒い服を来た複数の人物が刃物で無差別に切りつける事件が発生した。
2日午前6時時点で29人が死亡、130人以上が負傷したと発表されている。
現場で犯人4人が射殺され1人が逮捕された。
SNSでは流血の舞台となった現場の生々しい写真が拡散された。
中国国営通信社・新華社はこの事件をトップで報道。習近平総書記、李克強首相が対策を指示したほか、警察トップにあたる中央政法委員会の孟建柱書記、公安部の郭声[王昆]部長が現地入りしたことを伝えている。
また昆明市政府新聞弁公室は事件現場に残された証拠から、事件は
新疆ウイグル独立勢力が組織した重大なテロ事件
との見方を発表した。
具体的な証拠については現在明かされていない。
昨年10月には北京の天安門にウイグル人が乗った車両が突入、5人が死亡する惨事が起きている。
中国当局はこの事件も新疆独立勢力による犯行と断定。
漢民族を中心とした中国社会にはウイグル人に対する反感が高まっていた。
一方で、新疆ウイグル自治区ではウイグル人の文化、宗教を尊重しない強硬な引き締め政策が実施されていた。
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月2日 9時11分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84234&type=0
中国昆明で無差別襲撃、「新疆独立勢力による計画的犯行」=市政府発表―雲南省
●1日午後9時ごろ、中国雲南省昆明市の昆明駅前広場や切符売り場で、刃物を持った十数人の男らが居合わせた人々を次々に襲撃した。同市政府は、今回の事件は新疆独立勢力による計画的犯行だとする声明を発表した。
2014年3月1日午後9時ごろ、中国雲南省昆明市の昆明駅前広場や切符売り場で、刃物を持った十数人の男らが居合わせた人々を次々に襲撃した。
新華網によると、2日午前6時時点で、29人が死亡、130人余りが負傷した。
公安当局は現場で犯行グループのうち4人を射殺、1人を拘束した。
同市政府は、今回の事件は新疆独立勢力による計画的犯行だとする声明を発表した。
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2014.03.07(金) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40120
中国の「テロとの戦い」も勝つのは困難昆明無差別殺傷事件、
欧米の報道に苛立つ中国人
(2014年3月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
今や中国もテロとの戦いを抱えている。3月1日、昆明の主要駅で黒い服に身を包み長いナイフを振り回す襲撃者が少なくとも29人を切りつけて殺害した。
市民に対するこの恐ろしい攻撃が招いた結果の1つは、
中国政府が実際にテロの脅威に対処しているということを外国人の多くが受け入れたことだ。
中国当局はすぐに、死者のほかに140人の負傷者(一部は重体)を出した大虐殺を、大部分がイスラム教徒のウイグル族である新疆自治区出身の「テロリスト分離主義勢力」のせいにした。
■米国大使館のコメントや「テロリスト」の引用符に怒り
中国・雲南省で無差別殺傷事件、29人死亡
新疆自体から数千マイル離れた雲南省の省都、昆明での攻撃は、2人の見物人が死亡した昨年10月の天安門広場での比較的小さな攻撃の後、中国の心臓部で暴力が激しさを増していることを浮き彫りにした。
米国政府は、すぐには「テロリスト」という言葉を受け入れなかった。
中国の一部の人にとって、米国は嫌々ながら認めたように思えた。
米国務省のジェン・サキ報道官は3日、この問題に関するコメントを迫られ、この破壊的な攻撃は「一般市民を無差別に標的にしたテロ行為のように見える」と述べた(国連安全保障理事会はその前日に、「最も強い言葉でテロ攻撃」を非難した)。
3日の米国政府の声明は、北京の米国大使館が昆明の攻撃を「恐ろしく無意味な暴力行為」と呼んで冷笑を誘った週末からは前進していた。
大使館には、言葉の選択をあざ笑う怒りのコメントが5万件以上押し寄せていた。
最も一般的なコメントの1つは、「昆明の攻撃が『恐ろしく無意味な暴力行為』だったとすれば、ニューヨーク市の9.11のテロ攻撃は『残念な交通事故』だろう」というものだ。
このコメントには無理があったが、西側のダブルスタンダードを非難する中国人の間では、痛いところを突いていたように見える。
イーキン・フー氏は、米国を本拠とするオンラインマガジン「ティーリーフ・ネーション」への寄稿で、中国の一部のソーシャルメディアユーザーは、多くの西側の報道で「テロリスト」という言葉に引用符が付けられていることに腹を立てていると述べた。
政府の機関紙である人民日報は、
「国際社会による暴力の意図的な軽視と襲撃者たちへの同情」
と呼ぶものについて西側の解説者を厳しく非難した。
皮肉なことに、昆明の虐殺は、多くの中国国営メディアでは控えめに報じられ、通り一遍の説明しかされなかった。
■暴力の根本原因はウイグル族の扱いにある?
西側の報道に対する頻繁な異議は、ジャーナリストたちが中国西部に広がる資源豊富な地域、新疆の少数民族ウイグル人の扱いに暴力の「根本原因」を見いだそうとすることだ。
多くのウイグル人は、自分たちの言語や宗教が日常的に抑圧されていると不満を漏らす。
やはり反体制の自治区であるチベットと同様、中国政府は同化政策を敷き、漢民族で新疆を溢れ返らせ、今では漢民族が人口の40%を占めるに至っている。
切れ目のない5000年の歴史を持つという中国の物語は、この国の現在の国境を不可侵なものとして描いている。
だが、どの国民国家――英国の歴史家リンダ・コリー氏の言葉を借りれば、どの「人工的な構築物」――もそうであるように、中国の国境は長年にわたって変化してきた。
作家のティモシー・ビアードソン氏の言葉を借りれば、中国の国境は「フランスのコンサンティーナのようにあちこち動き回ってきた」。
現在新疆になっている地域は何世紀もの間、様々な中国の勢力や中国以外の勢力の支配下に置かれてきた。
新疆の文字通りの意味である「ニューフロンティア」を統合した清王朝が1911年に滅びた後、この地域はしばらくの間独立していた。
1949年以降、共産党がこの地域を再び支配下に置いた。
1990年代には、ソ連崩壊後に中央アジアの国がいくつか独立したため、ウイグル人の民族主義が勢いを増した。
■敵にテロリストの烙印を押すことの危険
西側が発見した通り、敵にテロリストの烙印を押すことにはいくつかの危険性がある。
1つは、そうすることで魔女狩りを引き起こしかねないことだ。
ウイグル人は既に、例えば、新疆の外に旅行した時にホテルで予約を断られるといった差別に不満を漏らしている。
雲南省に隣接する広西チワン族自治区の警察は週末に、背筋が凍るような警告を行った。
「新疆出身の人がここで生活していたり、仕事をしていたり、旅行しているのを見つけた人がいたら、すぐに当局に報告を」
という内容だ。
公平を期するために言うと、中国政府は自警主義の危険性を警戒しているように見える。
人民日報は分別のある警告をし、「テロリストに対する怒りを民族への敵意に変えないように」と呼びかけた。
襲撃者のことを――捕まえられ、処罰されなければならない犯罪者ではなく――テロリストとして扱うことに関係したリスクは、それが人々の態度を二分させかねないことだ。
最悪の場合、高圧的な取り締まりが敵意を鎮めるどころか、逆に刺激するという負のフィードバックループを生み出しかねない。
■「人権問題への対処が不可欠」
中国政府によって自身がテロリストのレッテルを張られている亡命中のウイグル人指導者、ラビア・カーディル氏は、昆明の暴力は「過激派」の責任だとし、
「緊張を和らげるためには、ウイグル人が直面している、積年の悪化している人権問題に中国政府が対処することが不可欠だ」
と付け加える。
このメッセージが心に留められる可能性は小さい。
自分たちが今、テロリストの脅威に直面しているということを世界に納得させた中国政府は、
中国国外で明らかになっていることに気付くかもしれない。
「テロとの戦い」は、不可能ではないにせよ、勝つのが難しいということだ。
By David Pilling
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JB Press 2014.03.10(月)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40114
抑圧がますますエスカレート、
迷彩色が街を支配する中国テロが起きると矛先はますます日本に?
3月1日、中国雲南省昆明市の昆明駅で起こった無差別殺傷事件は、29人が死亡、143人が重軽傷を負う前代未聞の大事件だった。
昆明駅に男6人女2人の集団が侵入、手に持った1メートルほどの大なたで、文字通り「ぶった切る」ようにして人々を殺傷。
30分弱の時間で170人を超える人を斬りつけた。
この「3.1事件」は専門的訓練を積んだ者たちによる犯行と推測されたが、その後DNA鑑定などを経て、この事件は「新疆ウイグル自治区の分裂主義勢力による組織的な暴力テロ事件」と特定された。
現地紙に掲載された報道写真は、荷物が散乱した駅構内を映し出していた。
両手に大荷物、子どもを連れた家族も多かったはずだ。
逃げるに逃げられない状況だったに違いない。
たとえいかなる動機や理由があったとしても許される行いではない。
事件後、昆明駅では銃を首から提げた武装警察が立ち、街中でも迷彩服姿が散見されるようになった。
そして、昆明のみならず全国規模で安全管理が強化され、ここ上海でも市内を警察車両が走り回り、武装警察がいたるところで警備をするようになった(下の写真)。
長年ここで生活する者にとっては異様なムードだ。
反日デモなどを除けば、かつてこのような緊張はなかった。
それはあたかも「戒厳令下」に置かれたような重苦しさである。
上海在住の日本人も
「いつどこで何が起こるか分からない」
と不安を口にするようになった。
振り返れば過去数年においても、中国政府への抵抗を示す暴力事件は少なくなかった。
江西省では2011年5月、撫州市の政府ビル前で自爆テロがあった。
2013年6月には厦門で、走行中の高速バスが放火された。
また同じ年の10月には、北京の天安門で、ウイグル族による車両突入事件が起きた。
その9日後には山西省太原市において、共産党山西省委員会庁舎前内で7回連続の爆発事件が発生した。
さらには中国全土で「昨日は貴陽、今日は西安」というように、無数の爆破事件が毎日のように起こっている。
■貧困にあえぎ差別されているウイグル族
今回の事件を引き起こしたのは「新疆ウイグル自治区の分裂主義勢力」とされている。
新疆ウイグル自治区とはどんなところなのだろうか。
新疆ウイグル自治区の面積160万平方メートル。
8の国家と国境を接し、45の少数民族が暮らしている。
ウイグル族の多くはイスラム教徒である。
日本人は新疆に古代シルクロードのロマンを描くかもしれない。
だが、新疆は深刻な貧困問題を抱える区域である。
同自治区の少数民族の多くが農業に依存しているが、夏と冬の温度差、昼と夜の温度差など気象や自然条件が厳しいため生産性が低い。
加えて慢性的に水が不足し、農業インフラも欠如している。
地元には豊富な石油資源はあるが、産業は漢民族が掌握している。
沿海部の大消費を指を食わえて見るだけで、地元市民はその恩恵に被ることができない。
交通、通信、電力施設などのインフラ整備も立ち後れている。少数民族資本の企業もあるが、規模が小さい上、競争力もない。
また教育も十分ではなく、文盲率も高い。
ウイグル族の若者たちの最も不満とするところは、就業機会の不平等である。
筆者はかつて、新疆ウイグル自治区を3度訪れたが、「大学でIT工学を学んでもホテルのドアボーイにしかなれない」など、将来の夢を描けない若者が少なくなかった。
少数民族の若い女性は、漢民族相手の夜の仕事に就く者も少なくない。
周囲の同胞たちはそれを悲しそうに見つめ、
「イスラムの教えでは許されないことだ」
と嫌悪する。
他方、上海で生活するウイグル族も少なくないが、彼らは差別の対象となっている。
都市部の市民には彼らを悪人呼ばわりする風潮があり、繁華街では「新疆人に財布を盗まれるな」、春節が間近になれば「新疆人が悪事を働くから注意しろ」などと、根拠のないデマを飛ばす。
確かに一時、上海では“ウイグル族の子どもギャング”が社会問題になったことがあった。
年端もいかないウイグル族の子どもたちがスリを働くのである。
格差の底辺にいる者が切羽詰まって、生きるために犯罪に走るのを見るのはなんともやりきれない思いだ。
問題は、こうした事件をきっかけにますます彼らへの蔑視が強まり、「ウイグル族は凶暴」というイメージが植えつけられることだ。
もともとウイグル族と漢民族の間には大きな距離感があり、それらが互いの理解を遠ざけてきた。
こうした状態が進行すれば、ウイグル族は経済的にも孤立を免れない。
また、外部の原理主義の侵入を許し、ますます反体制色を極め、暴力が顕在化するだろう。
■彼らは凶暴な民族なのか?
ウイグル族は清の時代にも中国領からの独立を試み、たびたび清朝と衝突した。
こうした独立を求める動きは今なお存在し、むしろ過激化する傾向にある。
「東突分子」と称される彼らは組織立った活動を行い、中央アジアから資金や武器の供与を受けているものと推測されている。
しかし本来、彼らはたいへん穏やかな民族である。
筆者がウイグル族の家庭に招かれたとき、靴を脱ぎ床に座るなどの日常の習慣や、控えめで静寂を好むなど、日本人との共通点が多いことを感じさせられた。
中国には「回族」というイスラム教徒の民族もいる。
上海でも身近な存在で、「牛肉麺」を看板メニューとする庶民向けの食堂経営をしている者が多い。
筆者は回族の店で好んで食事をする。
その理由は、基本的なマナーが日本人と共通しているためだ。
相手にものを渡すときには両手を使う、言葉には気をつかう、静寂を好み激しい口調で相手を攻撃しない、など、彼らはつかのまの安心を与えてくれる存在なのだ(食品の安全性は別だが・・・)。
いまやイスラム教徒といえば、アメリカでも中国でも「恐怖分子」のレッテルを深く刻まれてしまっている。
しかし、筆者の経験からすれば、中国の周辺の少数民族にこそ、人間が人間らしく生きるために必要な正直さ、誠実さや平和志向が見い出せる。
そんな彼らが抑圧され、人生のチャンスを奪われて生きる現実は「残念」の一言に尽きる。
激しくなる一方の対立感情を少しでも押しとどめようというのだろうか、上海紙「東方早報」には、
「今まで通り新疆のゴハンを食べよう」
という社説が現れた(3月3日付)。
「彼らを我々の生活の一部に取り込み、我々もまた彼らの生活の一部分になろうではないか」
というのが主旨である。
■「両会」で国家安全問題がトップ事項に
中国では、3月3日から「両会」と呼ばれる年に一度の共産党の会議が始まった。
開催前は環境問題が重要な論点とされていたが、急遽、「チベット問題、新疆問題」が浮上した。
昆明駅で発生した「3.1事件」はこのタイミングを狙ったものであることは、言うまでもない。
また、折しもウクライナで起こったクーデーターは、中国にも緊張を招いた。
日々のトップニュースは、ウクライナ情勢だ。
民族の対立が政権崩壊を招く構図は、まさに中国が最も危惧するところえある。
異なる民族、異なる宗教をいかに抑え込むがが喫緊の課題――、そう警戒していたときに、昆明での無差別殺傷事件が起こったのだ。
今後、中国はチベットや新疆ウイグル自治区への“抑圧”をますます強化することだろう。
中国にとっては、それが“核心利益”を保護することになる。
海外に対してもその主張を強める意向だ。
2013年11月、中国共産党18期三中全会で「国家安全委員会」が新設された。
公安部、外交部、国防部(「部」は日本の「省」に相当)などの分散していた部門を集約するのが狙いである。
米国の国家安全保障会議をモデルにしたとも言われる。
「旧ソ連の情報・特務機関、国家保安委員会(KGB)のような機能も兼ね備えた組織になる」(産経ニュース)との見方もある。
中国が「国家安全委員会」を新設するのは、「新型の安全領域問題が存在する」と考えているからである。
民族分裂を狙うテロや、民主化を求めるネット上の発言、領土や領海をめぐる周辺諸国との摩擦などが、“問題”に含まれる。
そして、中国がその筆頭に挙げるのが「釣魚島問題」、つまり尖閣諸島問題である。
昆明駅における今回の無差別殺傷事件は、中国国家に、治安維持を強化し社会的抑圧を高めるきっかけを与えるのみでなく、武装国家を目指して加速していく十分すぎるほどの大義名分を与えてしまった。
今後、中国はテロ対策という口実のもと、強権的な独裁国家に逆戻りしていくと思われる。
同時に、日本を仮想的として非難、攻撃するガス抜き手法は、ますます強烈に行われることになるだろう。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないが、「中国でテロが起これば矛先は日本に向く」。
遠い地の昆明でのテロでさえ、日本に影響を与えることは間違いない。
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姫田 小夏 Konatsu Himeda
中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務等を経て97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、東京で「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」を主宰。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ひと、こころ」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。目下、30年前に奈良毅東京外国語大学名誉教授に師事したベンガル語(バングラデシュの公用語)を鋭意復習中。
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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月9日 22時32分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84539&type=0
ビッグデータ、テロ対策への利用が焦眉の急に―中国メディア
●6日、昆明駅で今月1日夜に発生した深刻なテロ事件が、社会に深刻な影響をもたらした。公安機関などの部門による40数時間にわたる奮戦により、同事件は3月3日午後に解決された。写真は昆明の事件。
2014年3月6日、昆明駅で今月1日夜に発生した深刻なテロ事件が、社会に深刻な影響をもたらした。
公安機関などの部門による40数時間にわたる奮戦により、同事件は3月3日午後に解決された。
駅内の閉回路ビデオ監視システムのデータ分析が、事件の解決において重要な力を発揮した。
しかし専門家は、
「中国は海外と比べ、テロ事件に対するビッグデータ技術の利用を強化する必要がある」
と指摘した。中国科学報が伝えた。
安徽科学技術大学訊飛情報科技股フェン有限公司董事長(会長)の劉慶峰(リウ・チンフォン)氏は取材に応じた際に、
「大量のデータを分析・比較することで、国家および地域の安全に対して非常に重要な力を発揮できる」
と語った。
劉氏は、「世界では、ビッグデータ技術によるテロ対策の流れが形成されている。
中国はビッグデータ発展の流れと改良を続ける技術を利用し、テロ対策の中でより大きな力を発揮させるべきだ。
政府モニタリングから公共の場の些細な異常に至るまで、いつでも緊急体制を取れるようにするべきだ」
と提案した。
それでは、ビッグデータはテロ対策の中でどのような力を発揮するのだろうか?
中国工程院院士の●賀銓(●=烏におおざと、ウー・ホーチュエン)氏は、
「ビッグデータはテロ対策の中で、確かに一定の力を発揮できる。
テロ事件の発生には法則がある。
例えば昆明市のテロ事件は両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)の前日に発生し、かつ人の多い駅が選ばれた。
これは社会に影響を及ぼすための行動だ。
歴史上発生したテロ事件の発生法則により、いつどこで発生するかを大まかに判断し、警戒を強める必要がある」
と説明した。
ボストン爆破事件で、テロリストのリュックには爆薬の詰まった圧力鍋が入っていた。
事件発生後、ニューヨークである人物がネット上で高圧鍋とリュックを同時に検索した。
米国のテロ対策部隊はこの情報を迅速にキャッチし、検索をする人物の目的を調査した。
●氏は、
「ここからも、関連データの収集と分析は、今後のテロ対策の注意と参考になることが分かる」
と語った。
劉氏も、
「インターネットの時代において、人々の一挙手一投足はすべて跡を残す。
テロリストの平時の各情報、通話、交通、買い物、交友、Eメール、チャット記録、動画などを利用することで、テロ行為発生前に警戒を強め、事件後に分析を進めることが可能だ」
と話した。
●氏は、
「テロリストは行動前に、かすかな手がかりを残すはずだ。
すべての人の記録を作成することはまだ出来ないかもしれないが、データを絶えず収集・蓄積することで、すべての人の行動・生活から活動の痕跡を見出せるようになる。
テロリストは社会に不満を持っており、微博(ウェイボー、中国版ツイッター)や微信(WeChat、中国版LINE)などでそれを示すだろう」
と指摘した。
専門家は、
「データの迅速な分析と利用により、政府はテロ発生後にすべての力を動員し、対策を講じ事後処理を進め、被害を最小限に留めることができる。
しかし中国はビッグデータのこのような利用をさらに強化するべきだ」
と分析した。
●氏は、
「ターゲットを絞ることは困難だが、一定の法則を見出すことができる。
これはビッグデータをより良く利用する必要がある」
と述べた。
ビッグデータを研究する専門家にとっては、テロ対策のみならず、日常生活でもいかにビッグデータの価値をより良く発掘するかが、解決が待たれる難題となっている。
専門家は、ビッグデータの利用に関する研究を強化するよう提案している。
劉氏は、
「これは、政府がさらに力を注ぐ必要がある。政府がビッグデータにより、国民により良い安全保障を提供することに期待する。
国家はこの面の研究と投資を拡大するべきだ。
バックグラウンドデータを有効にし、情報の孤島を消滅させる。
例えば音声識別やキーワードの検索により、その人物の地域、身分、交流の内容を分析できる」
と語った。
中国人民大学情報学院教授の孟小峰(モン・シャオフォン)氏は、
「現在重要なのは、現実的な需要から着手し、ビッグデータの計算・応用モデルを構築することだ」
と指摘した。
中国工程院院士の汪◆華(◆=林のあいだに矛にしたに心、ワン・マオホア)氏は、
「ビッグデータ科学は幅広い応用が可能なサービスであり、戦略的にビッグデータの開発と利用を重視し、これを経済発展や社会公共管理などを推進する有力な足がかりとするべきだ。
ビッグデータで何ができ、それをどのように実現するかを研究する必要がある」
と述べた。
(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)
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