●江蘇省の塩城市の信用組合
『
International Business Times 2014年1月25日 06時22分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/53640/20140125/321146.htm
中国、農村の信用組合が支払い不能に
中国東部の江蘇省の塩城市には、農村部の財政を改善することを目的とした信用組合がある。
ところが、2013年の初めから預金者に支払いができないところがある。
利子の上昇と、経済成長の停滞も関係しているという。
中国の国営ラジオによると、
農民の財政組合(farmers’ financial cooperatives、略称:FFCs)は、
塩城市で実施されているパイロットプログラムで、
現在は3つのFFCsが営業を停止し、他にも預金者にお金を支払えないところが複数ある。
同局によると、預金者のひとりである雪(Xue)さんは、2011年以来、農村部の信用組合のひとつに42万元(約716万円)以上を預けていた。
なぜなら、同組合の担当者が、信用組合のバックには政府がついており、彼女のお金は安全であると説明したからだという。
雪さんは、
「私は政府を信頼しているので、組合の担当者の言葉を信用しました。
彼が11月にやってきて『返済できない』と言うなんて、予想もしていませんでした」
と述べた。
FFCsは、財源を共有することによって小規模ローンの需要を満たすことを目的とした組合で、農民によって設立された小さな会社である。
一般からは預金を預からず、会員からのみ預金を受け付ける。
政府の所有機関ではないので、同組合は、中国人民銀行の貸付制度へのアクセス権を持たない。
野村證券のエコノミストであるツァング・ツィウェイ(Zhang Zhiwei)氏は、それらの組合の中には、農民の農業活動のために小規模融資をする代わりに、資産運用プロジェクトに資金を使ったところもあるという。
マネージャーによる本来の目的以外への乱用である。
ツァング氏は、
「政府高官が記者に『FFCsのひとつが現在、支払い困難な状況である』と語ったのは欺瞞であると言えます。
なぜなら、政府への財政報告は不正確なものであり、預金は、実際には、資産運用プロジェクトに投入されていたからです」
と解説した。
同氏によると、現在、苦境に直面しているFFCsの預金総額は数億元であるという。
「21世紀ビジネス・ヘラルド(the 21th Century Business Herald)」の9月16日号の中国語で書かれた記事によると、中国の中央銀行は2013年、塩城市政府に対して、複数の信用組合が危険な状態であると警告した。
同記事によると、中央政府は2006年にFFCs を導入し、塩城市にパイロットプログラムを立ち上げた。
2013年前半までに、塩城市にはFFCsが138あり、組合員数の合計は約20万世帯、預金額は25億元、融資額20億元であった。
2013年1月の「財経網(Caijing)」によると、塩城市におけるFFCsの預金利子率は7%~10%の間であり、融資利子率は15%~18%であるという。
一方、ベンチマーク預金利率は3%であり、ベンチマーク融資利率は6%である。
ツァング氏は、
「今現在、いくつのFFCsが中国で稼動しているかは明らかではありません。
しかし、財経網は、2013年1月には約5,000のFFCsがあったと報告していました」
と述べた。
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
記者:Moran Zhang、翻訳者:臼村さおり
』
これをきっかけに、いろいろな隠れ負債が連鎖的にデフォルトする可能性がある。
連鎖的に破綻していくと、バブル崩壊のきっかけにもなりうる。
『
サーチナニュース 2014-01-24 09:27
http://biz.searchina.net/id/1522054
中国経済、今度こそ本当にバブル崩壊か?=為替王
中国はバブル経済が崩壊するといわれて久しいですが、そろそろ本当に危ないかもしれません。
中国を代表する株価指数(中国上海株価指数)は、リーマンショック後に景気回復してからは、2000の大台を下回ったのは2度。
2012年末と2013年夏。当時いずれも「中国バブル崩壊か?」と騒がれながら、米国を中心とした世界的な株高や景気回復期待に助けられ、中国株も反発しました。
ただ注目すべきは、過去の反発局面は、回を追うごとに反発の度合いが小さく弱いものになっています。
チャート分析用語でいうところの「上値を切り下げている」状態で、「下落トレンド」の見本のような形状となっています。
リーマンショックからのいち早い回復でもてはやされた中国経済ですが、最近は史上最高値を更新する米国株やドイツ株などと対照的に、株安トレンドから抜け出すことができていません。
そして今月、3度目となる株価指数2000の大台割れ。
ここまで株価が下がると、これからバブルが崩壊するかどうかというよりは、すでに中国の経済・金融市場の一部または大部分が厳しい状況に直面している可能性があることを認識しておきたいです。
』
レコードチャイナ 配信日時:2014年1月27日 6時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=82306&type=0
中国経済は「体制移行の罠」に陥る恐れ
=潜在成長率急落、住宅バブル懸念も―関志雄シニアフェロー
2013年1月24日、中国事情に詳しい関志雄・野村資本市場研究所シニアフェローは「中国経済の現状と課題」をテーマに日本記者クラブで記者会見。
中国経済は「体制移行の罠」に陥る恐れがあり、潜在成長率下落や住宅バブルの懸念が強い、との見解を明らかにした。
発言要旨は次の通り。
中国において、「ルイスの転換点」(安価な余剰労働力が枯渇して、賃金上昇が引き起こされること)の到来を受けて、労働力が過剰から不足に転換した結果、潜在成長率が大幅に低下している。
景気過熱の現状から判断して、中国の潜在成長率は、既に現在の実績値の名目GDP経済成長率7.7%(2013年速報)を大きく下回る7%程度に急落しているとみられる。
したがって7.7%の成長率はむしろ好景気を意味する。
失業よりも景気過熱が懸念され、政府のマクロ政策のスタンスも慎重にならざるを得ない。
今後の中国経済の発展は、産業構造も含めた経済構造の転換が実現できるかどうかにかかっている。
構造転換が実現できずに従来型の成長パターンを続けるならば経済成長は失速する可能性が高くなる。
住宅価格はバブルの様相。
標準住宅(70平方メートル)の販売価格は、家計の平均所得比で、北京が22倍、上海が16倍に達し、マイホームの夢が遠のいてしまう庶民の間で不満が高まっている。
住宅バブルがさらに膨張すれば、それが崩壊するときに、銀行部門やマクロ経済が大きな打撃を受けることも懸念されている。
2010年以降、中国政府は
(1).融資規制、購入制限、不動産関連税制の強化など関連需要抑制策、
(2).低所得者向け住宅の建設など供給拡大策
―などの対策を講じている。
これらが奏功するかがカギとなる。
市場競争が激しさを増す中で、銀行は気勢を回避するために従来の貸し出しに代わる融資の手法として、シャドーバンキング(影の銀行)を活用。
その規模は2013年3月末に、約17兆元(約272兆円)と推計される。
ただ、
(1).従来の銀行の貸出と比べまだ小さい、
(2).銀行の財務状況が良好で、シャドーバンキング関連業務から損失が発生しても自己資本や貸倒引当金で対応可能、
(3).大半の銀行は国有であり、万が一の場合でも政府に支援してもらえる、
(4).資本移動が制限されており、人民元は投機の対象になりにくい
――などの理由から、米国で起きたサブプライム・ローン問題と異なり、
システミックリスク(金融システム全体を麻痺させるような危機)につながる懸念は少ない。
中国経済は、
①.賃金上昇に伴う輸出競争力低下や経済構造転換の遅れなどにより先進国になる前に失速する「中所得の罠」と、
②.政府の役割転換や国有企業改革の遅れなどによる「体制移行の罠」
の2つの難題に直面している。
2012年に1人当たりの年間所得は約6000ドル(約63万円)に達し、急拡大しており、数年で1万ドル(約104万円)を超えると予想される。
イノベーションを通じた生産性の上昇もあり、「中心国の罠」はクリアできそうだ。
土地などの重要な資源のコントロールと基幹産業の国有企業による独占が続き、政府の介入色が強い。
国有企業の民営化をはじめとする市場経済拡大が急務だが、ソ連東欧の体制崩壊の前例の教訓から中国政府は急進的な改革に慎重で、漸進的なものにとどまっている。
また、経済関係の法律が十分整備されていない上に、信用と取引秩序の基盤が不備で、このままでは「体制移行の罠」に陥る恐れがある。
昨年秋の三中全会で、財政税制改革や都市・農村政策、自由貿易試験区の拡大、社会保障拡充、一人っ子政策見直しなどが打ち出された。
これらは西側の経済社会制度である「ワシントンコンセンサス」を思わせる改革案であり、実行されるかが注目点である。
』
『
International Business Times 2014年2月1日 04時12分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/53886/20140201/733309.htm
中国:シャドーバンキング大手の救済はモラルハザードを生む
中国の金融市場は辛くも弾丸をかわしたものの、1兆7000億ドルという規模を誇る投資信託業界(シャドーバンキングシステム〔影の銀行システム〕のなかで最も成長著しい部分)はこの先も大きな破綻を経験するかもしれない。
さらに重要なのは、500億ドルという規模の破綻寸前の投資信託をぎりぎりの段階で救出したことは、市場に「決定的」な役割を持たせようとする政府のコミットメントと逆行することだ。
●中国初のデフォルト危機はひとまず回避されたが、このことは投資家にモラルハザードを生むかもしれない。
中国におけるデフォルト(債務不履行)の条件は整った。
信用の成長は鈍化し、資金調達のコストは増大し、経済の勢いは弱まり、金融規制はタイトになっている。
「中国は以前にも同じような状態になったことがある。
例えば2011年後半、地下銀行が次々と倒産したときだ。
実際、今回の事態はかつてなく厳しい」
と香港のソシエテ・ジェネラルSAの中国エコノミスト、Yao Wei氏は指摘する。
大規模な国営銀行の流動性ももはや豊富ではなく、地方政府も借金漬けになっている。
しかしデフォルトが起こるには、もう1つ必要な要素がある。中央政府の意向だ。
「中国の金融商品がデフォルトを起こせるかどうかは、最終的には政治的な決定による」
とYao氏は指摘する。
2012年に4つの社債、2013年には20以上の信託商品が様々な形で政府から金を引き出し、期限ぎりぎりで生き延びた例もある。
「しかし、デフォルトや上場停止の可能性はまだあると我々は考えている。
金融市場のデフォルトは、実際、改革精神そのものだ」
とYao氏は言う。
第3回全体会議決定の骨子は、市場が要素価格について決定的な役割を果たすということだ。
もしも市場の見えざる手が腐った投資を排除する自由がないとすれば、「決定的な」役割を果たす基盤はないだろう。
「一方で、長期的な利益の見通しがあるなら、新政府は短期的には痛みを伴う措置を取るだろうとも思われる。
他方、経済をハードランディングに押しやるのも本意でないだろう。
このため、もしデフォルトが起こるとしても、少なくとも最初はコントロールされた形になるだろう」
とYao氏は付け加えた。
■破綻させるにはあまりに大きな
春節の日にデフォルトの運命を免れた "2010 China Credit / Credit Equals Gold #1 Collective Trust Product" は、2010年に富裕な投資家から集めた基金を、非上場の石炭会社山西振富能源集団(Shanxi Zhenfu Energy Group Ltd.)のために利用していた。
中国の大手「シャドーバンク」の1つであるチャイナ・クレジット・トラストが提供するこの商品は、ベンチマーク預金利率が3%なのに対し、投資家に10%の利回りを提供しており、中国工商銀行を通じて販売されていた。
中国語紙21st Century Business Heraldによれば、国が経済改革と成長パターンの変容を強調するなかで、振富能源社は、コスト増と利益の縮小に見舞われ、すでに破産を宣言している。
2012年5月には、同社副会長のWang Pingyan氏が銀行業の認可を受けていないのに預金を受け付けたとして逮捕された。
捜査を受け、チャイナ・クレジット・トラスト社は投資家に対し、振富能源社は29億元に上る高利のアングラローンの貸付を受けており、債務総額は59億元に上ると説明した。
一方、資産は5億元に満たないと評価された。
世界最大の資産規模を持つ中国商工銀行はロイターに対し、自らの資金で投資家に補償する計画はないと述べた。
ほとんどの資産管理商品は国営銀行を通じて販売されており、銀行預金より高いリターンを求める投資家らは、こうした商品が高利回りにも関わらず実質的なリスクがないと信じる結果になっている。
しかし、法的には、銀行は開発し販売した金融商品がロスを出したとしても、投資家を守る必要はない。
圧力が高まる中、チャイナ・クレジット社は27日、自らが保有する振富能源社株を非公表の第三者に譲渡することで合意に達したと発表した。
同社は貸付の返済が滞った際、担保として振富株を取得していた。
声明によると、投資家らは当該第三者から3年目及び最終年の支払いを受けることはないという。
分配に預からなかった投資家には振富株が与えられるとしているが、炭鉱の争議を考えればあまり魅力的とは言えない。
ブルームバーグは29日、上海、広州、北京のほとんどの顧客がチャイナ・クレジットとの間で、商品の額面価格と引き換えに自らの権利を不特定の購入者に委譲するという契約にサインしたと報じた。
*この記事は、米国版International Business Timesの記事を日本向けに抄訳したものです。
記者:Moran Zhang、翻訳:橋本あかね |
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【劣化する人心と国土】
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